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黄色ブドウ球菌菌血症の治療にリファンピシンを追加しても明らかなbenefitはない

Lancet 2018; 391: 668–78
(全文フリー)
 
 
読んで字の通りの結果のRCTです.
 
黄色ブドウ球菌菌血症に対するベストな治療は,実はわかっているようでわかっていなく,具体的にはどの期間の投与が良いのか,単剤で良いのか併用が良いのか(今回のテーマですが)などまだまだ不明なところも多いです.
 
リファンピシン(RFP)は,とくに人工物の絡んだ感染症の際には,その組織移行性やバイオフィルムへの浸透・移行性の良さを見込んで併用することはあります.しかし,人工物の有無に関わらず,またMSSA,MRSAの区別なく,黄色ブドウ球菌菌血症というすこし広めの対象に対してRFPの追加に効果があるのかは不明でした.これがこの研究が行われた背景です.
 
トータル758名がRFP併用群,コントロール群に1:1で割付されており,単独のtrialとしては最大規模の研究でした.割り付けから12週以内のイベント(細菌学的治療失敗,再発,死亡の複合アウトカム)をプライマリアウトカムに設定しており,結果はRFP
群62(17%),コントロール群71(18%)で,両群に有意な差は見られませんでした

(absolute risk di erence –1·4%, 95% CI –7·0 to 4·3; hazard ratio 0·96, 0·68–1·35, p=0·81).両群とも重篤な有害事象の頻度に差は無かったものの,抗菌薬関連の有害事象や相互作用が問題となった参加者はRFP群のほうが多いという結果でした.

 

これらをみると,RFP追加のメリットはほぼなさそう(HR推定値ほぼイチ)であり,むしろ併用することで有害事象が増えるかもという印象であり,これは現場感覚からも乖離しないと考えます.

 

私は,もともとブ菌菌血症というだけでRFP併用をすることはなかったので,正直なところ「ま,そうだろうなぁ」という感じでしたね.

 

いやでもこのスケール,すごいですね.Lancetに載るのも納得です.