骨折治療後のインプラント除去術に予防的抗菌薬投与は必要?
JAMA. 2017;318(24):2438-2445.
PMID: 29279933
【目的】
骨折治療(膝以下)に用いたインプラントの抜去術の際の術前抗菌薬投与(単回)の効果を評価する.
【デザイン・セッティング・対象者】
研究デザイン:多施設二重盲検化ランダム化試験
対象者:骨折(膝以下)に対して外科的治療を受け,その後インプラント抜去術を受けた18-75歳の患者(計500名)
期間:2014/11-2016/09
場所:オランダの19施設(教育病院17, 大学病院2)
除外基準:activeな感染・瘻孔の存在,抗菌薬治療を受けたもの,osteosynthesis materialの再挿入,セファロスポリンアレルギー,腎疾患,免疫抑制剤使用,妊娠
【介入】
術前のセファゾリン(CEZ)1gの経静脈的投与(単回)(n=228)もしくは生理食塩水投与(n=242)
【主要アウトカム・評価】
プライマリアウトカムは30日以内の術後創部感染(CDCの評価基準に準じる).セカンダリアウトカムは機能的予後,健康関連qOL,患者満足度.
【結果】
477名の参加者(平均年齢,44歳[標準偏差,15];女性,274名[57%];インプラント挿入からの期間の中央値,11ヶ月[IQR7-16])のうち,470名が試験を完遂した.66名(14.0%)がSSIを発症し,CEZ群が30名(13.2%),生食群が36名(14.9%)であった(絶対リスク差 -1.7[95%CI,-8.0 to 4.6],P=0.60).
【結論】
骨折治療(膝以下)に用いたインプラントの抜去術を受けた患者において,術前のCEZ単回投与は生食と比較して抜去後30日以内のSSIのリスクを減らさなかった.
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これも抗菌薬適正使用系.
【気になった点】
・SSI発症率14%?(そもそも高いような印象,こんなもん?)
・CEZ1g,少ない??
SSI発症に関わる因子として抗菌薬以外には,術前・術中の清潔操作や外科医の腕なんかがあるでしょうか.この辺は国や施設間でも差がありそうだけど.もともとRCTは外的妥当性がweak pointだが,この研究はそういう意味でさらに慎重に外挿する必要がありそう.
そしてこれも「有意差なし」という結果であるだけで,「両群に真に差がない」と言っているわけではない.わずかとは言え,ややCEZ群が押してるようにも見えるし….